屋久杉の3つの特徴

①心材に近いため香りが強い

屋久杉は、心材(木の中心に近い部分)の色が濃く、香りが強いことがまず挙げられます。
ヒノキのように落ち着きのある まろやかで上品な香り。
ふわりと立ちのぼり 瞬間を柔らかく包み込んでくれる香りは 森の空気に包まれているような感覚に近いかもしれません。香りの強さは個人差があると思いますが 香木のパロサントよりも淡い香りで 近づけてみた時に仄かに香る 優しい香りがします。

特に、スギ科の樹木が発する香りには 「セドロール」という成分が含まれています。セドロールには鎮静効果があり 自律神経に作用して 呼吸や心拍数を落ち着かせ 心身をリラックスした状態へと導いてくれるので、睡眠の質を高める効果もあるそうです。

②腐りにくく耐久性が高い

屋久杉は、樹脂が多く、普通の杉の6倍以上含まれ、腐りにくく、虫にも強いという屋久杉の性質をつくっています。これが江戸時代に切られた切り株が土埋木として残っている理由でもあります。

材質が緻密なので、圧縮、引っ張り、曲げなどの強度も普通の杉に比べると強くなっています。通常倒れた木は朽ち果ててしまうのですが、屋久杉は倒れてから300年以上が経っても腐らずにそのままの形で残っています。 屋久島という過酷な環境で育つ地杉は、樹脂分が多いために雨風や寒暖差に強く、屋外でも使用できるほどの耐候性と防蟻・防ダニ効果があり、何年経っても劣化しにくいことが特長です。

③詰まった年輪による独特な杢目

成長が遅いため、年輪が詰まっており、独特の木目や杢と呼ばれる模様を生み出します。そのほか、長寿のため、中に空洞を生じたり、あるいは伐採されてから表面が朽ちたり、変色したりしているのも屋久杉材(土埋木)の特徴といえます。

特に土埋木として残っている部分は木がうねっていたりして、複雑な木目があらわれ屋久杉の美しさやおもしろさをつくっています。杢のあらわれ方は木取りのしかたによっても変わってきます。それを予測し、木取りのしかたを考えるのも職人の醍醐味となっています。


屋久杉とは?

 屋久島の標高500mを超える山地に自生しているスギを屋久杉と呼んでいます。秋田杉や立山杉、北山杉、魚梁瀬杉などもスギの地域名称です。スギはヒノキ科の樹木で、屋久島から青森県の津軽半島にかけて分布している日本の特産種といわれています。

屋久杉が育つ森林は、残された最大のスギ群落です。世界遺産登録に際しても、日本の自然景観の重要な要素であり、固有植物であるスギのすぐれた生育地と評価されています。スギはまっすぐで軽く、加工しやすい木材として縄文時代から利用されてきました。また、御神木や並木などとして親しまれてきた樹木です。
日本人にとって身近であったスギだけに、自然林は多くは残されていません。屋久杉は日本の森林のなりたちを教えてくれる貴重な自然のスギなのです。

屋久杉と小杉の違い

屋久島では、およそ1000年を超える杉をとくに「屋久杉」、若い屋久杉を「小杉」と 呼んでいます。
 江戸時代には、真っすぐな屋久杉を選んで抜き切りしました。伐採跡の明るい場所に次の世代がたくさん育ちました。切り株更新という現象です。樹齢数百年の「小杉」の多くはこうして誕生したものです。
 豊富な日照を得て成長が早いのが特徴で、のびやかなスギらしい姿をしています。

これに対して1000年を超える「屋久杉」は、人間が手をつける以前に誕生したものといえます。
 伐採跡に育った「小杉」に比べて光に恵まれず、 成長が遅く木目が詰まっています。
 現在みられる「屋久杉」の多くは凹凸が激しく利用しにくいので切り残されたもので、縄文杉や紀元杉など名のある巨木が代表的な例です。現在見ることができる屋久杉は、小杉の大群と利用に不適として切り残された異形の巨木ということになります。

国産材と外材の違い

住宅を建てる際に建材を選ぶ機会がありますが、国産材と外材ではどのような違いがあるのでしょうか。国産材は流通量が少なく、なかなか思うように入手しにくいのに対し、外材は太くて大きいものがいくらでも採れ、欲しいものを欲しい時に簡単に揃えられる、という違いがあります。外材は育ちが良すぎるものが多く、年輪が大きいという問題があります。年輪が大きいと、乾燥による変形が大きくなってしまうのです。

逆に国産材では、径の大きな原木が少なく、曲がりの多い木などでは、寸法足らずになってしまうケースが出てくることや、建材として商品化するまでの期間にも手間をかけてやる必要があります。国産材の特徴の一つとして、日本の気候風土の中で育ったために、建材としても風土にあっている、ということができます。

外材でも中には腐食に強い樹種もあるものの、例えば欧州の材木などは、日本の風土では腐りやすく、シロアリにも弱くなります。こういった耐久性の違いなども、それぞれきちんと確認をして選びたいものです。
国産材の流通の問題には、昔からの林業のあり方など、様々な要素が関係してきますが、住宅に住む側としては、どの木材で建築するのかというのは、実はとても大切なポイント。それぞれの違いを確認し、納得のいく選択をしたいものです。

 

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